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映像制作における予算の組み方について

クリエイティブは受注生産型という特徴ゆえ、 予算の組み方について説明がしづらい部分があるかと思います。ここではその概念についてご説明いたします。映像を制作する際の予算の組み方は、大きく分けると2パターンあります。

下流から積み上げる

[ メリット ]

  • 具体的な工数と実費の計算になるので、「出来ること」と「出来ないこと」が何かがハッキリし、仕上がりと進行においてギャップが生まれにくい。
  • 短納期・少額の予算でも、積み上げてゆく工程を厳選することで、制作が可能。

[ デメリット ]

  • 撮影や編集への理解や内容がハッキリしていないと、逆に費用がかかってしまう。
  • 仕様変更が発生した場合、クオリティ、その他の多くが犠牲となってしまい、望んでいたような仕上がりにならない危険がある。

上流から考える

[ メリット ]

  • コストパフォーマンスに優れている。
  • 柔軟な変更に強い。

[ デメリット ]

  • コストパフォーマンスを追求するために細かく調整が入るので、見積もりの内容説明が難しい。
  • 予算配分の調整能力が結果を作用するので、プロデューサー個人の力量に結果を左右されてしまう。

それぞれのポイントをさらに詳しく

下流から積み上げる

POINT01

限られた制約の中で現実的な策を見つけられる。

「下流から積み上げる」というのは、単純に「必要な経費を積み上げて、総計を出す」という予算の組み方です。優先度の高い、必要工数を厳密に積み上げてゆくので、予算が少額の場合、厳しいスケジュールでプロジェクトを完了させる必要がある場合には、この「下流から積み上げる」予算の組み立て方が現実的な選択となります。 また、大きなメリットとして「出来ること」と「出来ないこと」が明確になりますので、完成イメージと進行においてズレが生じにくく、着実に仕事が出来る点も挙げられます。

POINT02

しかし、柔軟性はあまりない。

反面、厳しく予算管理がされているだけに、仕様変更などの柔軟な対応には難があります。営業マンがプロデューサーを兼任しているケースでは、現場経験のあるプロデューサーがスタッフリストに入っていない場合が多く見られます。そのようなプロジェクトで「下流から積み上げる」という概念で予算組みをすると返って工数がかかってしまったり、現場スタッフの力量や脚本の出来に難があった場合には思いもよらぬところでコストが増大する懸念があります。「予算は少ないけど〇〇のようにしたい」とオーダーを出すと、営業担当は仕事を取るために「頑張ります!」と言いますが、現場は正反対で(「無理だろ、この金額じゃ!」)、このズレが「こんな筈ではなかった」、「望んでいた仕上がりとは違う」、「当初の予算を大きく超えてしまった」といった失敗に繋がる多くの要因となっています。

上流から考える

POINT01

コストパフォーマンスが良く、失敗が少ない。柔軟な対応が可能。

予め掛けられる予算全体のバランスを調整していく予算の組み方です。 一見すると「安い」と感じるようなコストにはなりにくい反面、高いコストパフォーマンスを期待出来て、失敗しにくいのが特徴です。(映像制作は工程数が多いので、都度、柔軟に調整することでコストパフォーマンスの向上に繋がるのがその要因となります) また、作業者に具体的な報酬額を提示して工程をまとめて発注することで案件に対する理解も深まり、予算以上のクオリティや対応が可能となるのもメリットに繋がります。このような形で作業者に発注を出すことが作業者のモチベーションにも繋がり、そのモチベーションが仕上がりに大きく関係する要素であることは強調し過ぎてもし過ぎる事はありません 。「予算を積み上げていく下流からの予算組み」と比較して、「上流から考える」予算組みの大きな強みは「後々の変更に強い」ということでしょう。 変更は発注サイド・制作サイドの双方にとって出来るだけ避けたいものですが、「変更が発生する」場合の多くは、「やむを得ない」、「見過ごせない」ものです。 お客様の結果を重視するためにそういった変更についても予め想定しておく必要があります。その変更に柔軟に対処出来るのが「上流から考える」予算組みです。 制作会社にコンサルタント的な思考が出来る制作担当者がいて、その担当者が予算を「上流から考える」ことが出来る場合、動画の完成がゴールではなく、その先の結果、そして本プロジェクトの仕組みまで押さえた上でバランスを調整することになりますので、プロジェクト成功に大きく貢献する可能性が高まるのもポイントです。

POINT02

ただし、見積もり内容の説明が難しくなってしまうことも。

逆に「上流から考え」て予算組みを行う場合のデメリットですが、「見積もり内容の説明が難しい」、「慣れていないとバランスを崩す危険がある」、といったものが挙げられます。 つまり、露骨に「プロデューサー個人の力量に結果を左右されてしまう」不安定さが「上流から考え」て、予算組みをするという概念の扱いにくさと言えるかもしれません。 以上が大雑把になりますが、映像における予算組みの概念となります。

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